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米
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米
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おっと、失礼。
私は出遅れたかね?
まぁ、私自身は、「奴」より前ならば、文句はないが。
遅刻を責めないでくれたまえ。
いささか、私も取り込み中でね。
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申し遅れた。私はイサク。<清浄のイサク>だ。
諸君にはしばらく私からも講義を受けてもらうことになる。
以後、よろしく。
言っておくが、私は実践主義だからね。
講義の単位は、学期末の恋人の数という事にさせてもらうよ。
まぁ、そう不安な顔をすることはない。
報酬を貰う限りは、それ相応の仕事はするさ。
ここの校長とは何かと気があうのでね………
退屈しのぎの先は、幾つあったところで、困ることでもない。
ん?………繰り人。私は「特別客員講師」と聞いたが。
紹介が、非常勤講師になっているが、条件は変わるまいね?
あの条件でないと、私は、飲まんが、
そのあたりは、十分、理解しているのだろうね?
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何? 詳細は後程?
今さら、何を胡散臭い事を………良い度胸ですな!
まァ、条件ならば、もう少しこちらも
ふっかけても良いのではと思っていたところだ。
後でじっくり話そうではないか? ンン?
おい、逃げるな。逃げぬが結局その身のためだよ!
さて………では私の講義を受けるに際しての心構えだけ、
簡単に述べて挨拶に代えさせて戴こう。
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まずは事にあたるに際して、けして、己を疑わぬこと。
己に惑うものが、どうして女性を愉しませられるものか。
あぁ! 誤解なきよう!
私は迷うなと言っているのではない。
迷うことは構わぬ。
迷ったと、有り体に迷ったままの己を認めればよいのだから。
己を疑うことと、迷うことは違う。
わかるかね? その違いは大きいのだ。
また、嘘はつかぬこと。
いらぬ事ならば、喉より先に出さねば良いだけ。
口にした偽りは必ず己の身に戻ると思っておくように。
………女性は、必ず、気づきます。
世の神秘というものは、どうしてか、常に女性に荷担するのでね。
以上、心しておくように!
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さて、簡単、雑ぱくではあるが、
私からの挨拶は、これで終わりとさせていただくよ。
後は、この塾を選んだという一義をとっても、
こと、この事に関しては切実なる煩悶を抱き、
日々、打開策を模索している、精勤で勤勉だろう諸君の、
その類い希なる向上心に期待して、
私はこの場を失礼しよう!
あぁ。
常にものの解ったような顔の、伏せ目の奴も、こちらの講師なのだろう?
あの一見、ストイック気取りの食わせ者が、一体ここで
どのような挨拶をするのか、
聞いてみたい気もするが、
顔を合わせるとややこしいこともある。
何より、先ほども申し上げたとおり、いささかこちらも
取り込み中が現在進行形でね。
いわば、これは私の自主研究だ。
愛しい果実がこの鼻先にぶらさがっている。
もぐ事は容易いが、今は、それを愛でるので忙しい。
手に入るところにあるものを、わざと、すぐには手にしない。
その人の口から、私を欲する言葉が出るまでは、けっして、ね。
そうして時をすごすもどかしさも、
また一つの醍醐味というものだよ。
そうだな。君たちにも、その余裕があったら、試してみたまえ。
なかなかにこれは、ゾクゾクする。
請け合いだ!
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いや………諸君らには、まだ早すぎたか。
だが、そう、顔を赤らめることはない。
詳しく聞きたい者は、次回、講義の後にでも
時間をとろう。
食事でも摂りながら、ゆっくり話そうではないか?
それでは、ご静聴感謝する!
最後に、私は今日、遅れてきたが、
諸君らは私の講義にはけして、遅れぬよう。
聞き逃したところは、二度は言わん。
後悔するのは諸君らだよ。
肝に銘じたまえ!
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おっと、忘れるところだった。
繰り人。条件については、後ほど、こちらから望みのものを
封書で二枚、送付しよう。
押印して、戻せ。
それで契約成立だ。
否はないな?
………あの人には、私から説明しておく。
今後の展開の確約も貰っている、とな。
なに、お前の確約なぞ、ただのお守り代わりだが、
それでもある掘はすべて埋めておくさ。
私はそういう手間は惜しまぬ男だ。
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では、諸君。
次回は本講義で!
See You!
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なんじゃろう。
いま、ゾクッときたぞ。
…………気のせいであれば良いが………
うぅ、ぶるぶる。
風邪かのぅ?
うぅ。しかし、それにしては、
なんとも、気色の悪い気配じゃ。
…………嫌じゃのぅ………
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激臭(劇終)笑!
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