fake-face 




















****3

フェイク・フェイス at  ………






 ☆★☆

………年は十九。名前は涼。葛葉涼。
 彼女は、葛葉神道家という巫女百人を擁して成る神道を奉じる古い家の、跡取りだ。
 葛葉の屋敷を統べる権宮司で彼女の養い親であり、嘘か本当か、年が三千有余歳と囁かれる、「老翁」とは、直接、血のつながりはない。
 その天来の資質を見込まれて、養女になったのが、四歳のこと。
 そこから十五になるまで、兄の桜木と生き別れ、ようやく再会できたのちも、思うままに共には暮らせぬ不自由さにかろうじて甘んじている。
 何故そういう事になっているのかを説明しだすと………どれだけ紙があっても足りない。そのあたりの事情については本店HPこもごものご参照を是非、こいねがうとして……
 もう少し、彼女自身の事について語ろう。
 彼女の容姿を、美しいかどうかと問われると、万人、意見の分かれるところだ。
 率直に言うなら、怖い、と、評するのが一番近い。
綺麗だと見える向きもないではない。
 いや、おそらくは、綺麗と充分言っていいはずだ。
しかし、それをはるかに超えて、なお余りある……なんというのだろう……迫力、が、ある。
 それは、一見すると、彼女を美貌の少年のようにさえ見せてしまう。
 男か、女か、一目でわからぬのは……その内なる力が、余りに大きすぎるせいなのかもしれない。
 もともと、女らしく育てようという心持ちは老翁の方にもみじんもなかったとみえて、行儀作法はもちろん、おおよそ女性らしいという要素はすべて、彼女の立ち居振る舞いからは抜け落ちている。
 指先にまで、神々しいような力は溢れている。心を傾けて視線を投げれば、鳥も獣はもちろん、人も、魔ですらその場に昏倒するような、面妖、不可思議な、それは「力」だ。
 が………普通の女をはかる規準でいうなら、そんなものはまったく持ち合わせていても意味をなさないのである。
 このような女であるから、浮ついた話など、あろうはずもない。
本人はこの世に兄さえいてくれれば満足であるらしいから尚更だ。
 彼女が兄と暮らすために、さる契約を行った「オモテ」という組織がある。そこには彼女のお目付役の有坂という男もいるが、この男もなかなかのくせ者で、とても恋愛対象なぞという部類には入らない。
 このまま、誰も何も言わないが、おそらくは必要な年に、必要な相手が見合いなどであてがわれるものと暗黙の了解のうちに申し送られてきたようなところを………
 何事においても、情勢をまったく一転させるような事態というのは、起こるものらしい。
 この女に惚れたという男が現れる。
それが冒頭に出た男。
 その名を、イサクという。





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送