涼: (枕元に開いてあった鏡に気付き、目を見開く。己の目の色が………「黒」!) な………な! (こそぐように鏡を見つめ、唇を手で押さえ) ありえぬ、我が身の力……(畳についた拳を強くにぎりしめ、その身が小刻みに震える。顔面は蒼白。細い肩が激しく震え) イサク………ッ、あの、破廉恥漢、盗人めが、源まで持っていきおったか……ッ!
(自分の顔を片手で覆い、唇を噛みしめる) なんたること。なんたることじゃ…… 明日はようやく満月が来るというに。 我が身の力の何もかも、イサクに持っていかれてしまうとは……ッ!
私から術をとれば、何が残ると? く………ッ(歯を強く噛みしめ、両手で畳みを激しく打ち、そのままそこに突っ伏してしまう) だ……駄目じゃ。このままでは。このままでは、私は。 私は………あ………兄上を………お助け、できぬ……!
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