この方は……
有坂  
有坂:
(涼の肩の想像以上に小さいのに、眉を潜め)
(考えてみれば、この方は、まだ19なのだ……成人すら、しておられぬ。
 それなのに、もう、数え切れぬものをその肩に背負いこんで……
 大表の方さまは、一体、どのようなおつもりであるのか。ただ、あの噂をお信じになっておいでなのだけではないのか?
 もしそうならば、それは、酷な話だが……この方は何もご存知ない)

 まずは、「オモテ」に参りましょう。
とにかく、体勢を立て直さねば!
 ご案じ召さるな。「オモテ」は、何も、姫さまをこきつこうておるだけではございませんよ。
 このような時のために、この有坂がおります。

 常に申し上げておりますでしょう……我等は姫さまをお守りするためにある、と。
 ………このようなことになっていると知れば、きっと、細田室長は目を回されるでしょうが(苦笑)

 ………姫さま?
どうなさいました?
 (涼が、驚いたように店の四方の壁を見つめているのに、大きく首をかしげ)
Date: 2005/02/27/11:38:03   [180]

あ……!
  
涼:
 (桜の写真があちらこちらに貼られた店を、呆然として見回して、膝で、店の中央に進む)
 あ………あぁ。
 (目を細め、ぐるりと店を見回して)
 そうで………あったか。

兄上は………兄上は、最初から、そのおつもりで、これを。

(その目に、先までとは別の涙が盛り上がる)

 なんじゃ……最初から、こんな簡単な事であったのではないか。
 私が難しく考えすぎておっただけじゃ。
阿呆じゃの……
 阿呆じゃのぅ……!
Date: 2005/02/27/11:46:55   [181]

見つけた……!
  
涼:
(泣き笑いで、天井を仰ぐ)
 アァ………そうであったか!

 この場所から見れば、すぐにわかった。
よう知っておった景色ではないか。
 あの日の私の背丈ならば、そうじゃの、兄上、これは……このような景色であった。

 桜にけぶる、桃色の優しき風が吹く。
あの向こうから、母上がおいでになる。
 いつも、昼食の時間が過ぎてももどらなんだで、呼びにきてくださった。

 なるほど、あそこならば、誰も、わからぬ。父上、母上より受け継がれる古い護りは、まだ活きて、主たる兄上のお身を護ろう。
 すこうし考えれば、わかったことじゃ。
あそこならば、山のすべてが兄上をお護りしておろう……!

 兄上………
里に………おいでなのじゃな。
 我等が、あの美しき山に………!

 我等が里、十文字の、あの村に……!
Date: 2005/02/27/11:52:35   [182]
 【Ne xt】(2月24日(木)十文字の里  近日up!)
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