王手(チェック・メイト)だ
桜木  
桜木:
 (夜はシンと更けゆくばかり。音といっても、ミミズクの鳴く声程度。目を伏せ、果心堂の戻りをただ待つ、その後頭部に、不意に冷たいものがおしあてられる)
 ………ッ!

(白い手):
 みつけた。王手(チェック・メイト)だ。
Date: 2005/02/28/02:27:47   [191]

おかしいと思ってたんだよ
桜木&(白い手)  
(白い手):
(姿は闇の中。白い手だけが、桜木の頭を押さえている)

 あの吸血鬼と一緒にこの山に入るのを見たんだ。

 なんであんたの姿がないのか、おかしいと思ってたんだよ。
 ……振り向くな。
オレは疲れてる。 
 あんたが人間でも、このまま殺しちまいたい感じでさ。
 ほんとうに相当疲れたよ。
まさか、ここまで粘られるとは思わなかった。そういう意味では、誉めてやってもいいな。

 ……ちぇ。兄貴が痺れを切らしてるだろう……また、あの嫌味とお小言か……面白くもねぇ。こっちだって、子どもじゃないのに。

 さ、少し話を聞かせてもらおうか。
あんた、一体なんなんだ?
 見たとこ、普通の人間にしか見えないんだが。

 あいつの食料として引きずって来られたのか?
 ………ふん、なるほど。
 頚に、確かに噛まれた跡があるな。
それであいつに操られてるんなら、清浄化してやらないこともねぇが………
(少し考えるような間があって、そののち)
 ……だが、この山から出られない仕掛けをしたのもお前だろ?
(言って、途端に口調が不機嫌になる)

 ただ、操られて出来る事とも思えねぇ。

そうだ。まず、とにかく、教えろ。
 どうしたら、外に出られる?
オレはもう、木も土も、一秒だって見てたくねぇんだ!
Date: 2005/02/28/02:43:33   [192]

どうして、姿を見せないんですか?
桜木&(白い手)  
桜木:
(最初は目を見開いていたが、やがて、頚を傾け)
 操られてはいませんよ。
私は、私の意思でここにいます。

 山を出たいと言うなら、待って頂くしかないですね。
 私の妹が来るまで。
 私の妹が来なければ、何人たりとも、この山から降りることも入るもできません。

 あと………普通の人間かとご質問でしたね?
 普通の人間ですよ。
別に、生まれ持っての特別な力があるわけでもない………(肩の上に乗っている掌から、静かに痛みが体を浸食し始める。その、手を横目にして)あなたのように、ね。
(相手が、理解不能とでも言いたげに、静かになるのに、苦笑して)
 私からも、一つ、質問を。
あなた、どうして姿を見せないんですか?
 私に見られては、何か不都合なことでも?
Date: 2005/02/28/02:54:34   [193]


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