2月24日 十文字の里

(EmptyReference!)
こちらを向け!
  
涼:
(先ほどまでとはがらりと表情がかわり、笑顔のかけらもない。氷のように切り立った視線の奥には、殺気さえ宿るほど)

 お主が………

(地面に腰をついている男を見下ろす。いまだ、男は顔を手で覆っている。憎々しげに、涼、唇を噛み、男を見下ろし)

………おって、有坂が来れば、かえってお前を護ろうとするやもしれん………それほどに、我が身の中の怒りは、深いぞ。

 この日の本の魔は、すべて、この姫帝、『天魔』涼の庇護のもとに統べられておると、知らぬとは言わさぬ。

 この国の土を踏み、我が領土より勝手気儘に若い魔を狩ろうなぞとは、あり得べからざる大罪。
 なれば、我が手で直々に、その罪の重さ、思い知らせてやろう。


(EmptyReference!) 桜木:
(涼の後ろで、慌てたように)
 ま、待って下さい、涼、その人は!

涼:
 兄上はお優しすぎるッ!
しばし、後ろで待っておられよと言うたはず。口出しして下さるな。
 私は………怒っておるのじゃ。

 有坂がくれば、こやつは「人間」。
裁きは私の手を離れ、おそらくは「オモテ」の審理となる。
 ましてやこやつは日の本の奴にはあらず。
 ………おそらくは、毛唐の仲間が、目の色変え、あの手この手で言いくるめて、引き取りにやってくるに違いあるまい。あれは、そういう連中じゃ。

 そうなれば、いかに有坂とて、こやつを罰せるかどうか知れぬ。
 浅い罪で済んだのならば、味をしめ、こやつのみならず、真似るやつも出て参りましょう。
 それでは、姫帝としての、沽券にもかかわります。

 なにより………いま、我が手で滅さねば、この身の怒り納まるとも思えません。
 どうか、お口出しはなさらぬよう!

 さ。面をあげよ!
しゃッ面見せいッ!

(手をサッと空で一閃すると、顔を隠していた男の手が、何かにはねのけられたように、左右へわけられる)
(EmptyReference!)
(男の顔を見て、涼、息を飲む)

………なッ。
Date: 2005/03/02/00:52:18   [225]


(EmptyReference!)
お前は……!
  
涼:
(顔を引きつらせ、目を信じられぬという風に見開いて)
 お、お前………
Date: 2005/03/02/01:06:55   [226]

(EmptyReference!)
イサク……ッ?
  
涼:

 イサク………ッ?
Date: 2005/03/02/01:11:32   [227]


あなたには逢わせたくなかったが
涼と桜木 イサクとヨハネ  
 あなたには………一番、逢わせたくなかったのだがな。

涼:
(顔色を変え、後ろを振り向く……そこに………イサク! 涼、満面の困惑!)

 くッ?
(いつ来たのか、いつから居たのか、わからなかったことが、涼の焦りとなる。どうにも、この男が苦手になっているらしい。それでも、精一杯の気勢を張って)

 お主、二人………ッ?

イサク:
(苦く笑んで、肩をすくめ)
 同じ顔でも、これと私は全く別なもの。
それでも、あなたの目はそうとは見えなかろう。
 ………だから、けして、逢わせたくはなかったのだが。

………ヨハネ、無様だぞッ!
 立てッ!
(苛々とした口調を隠さず、怒鳴る)
Date: 2005/03/02/01:27:23   [228]

つくづくに、残酷な。
イサク  
イサク:
(涼を見下ろし、肩をすくめ、切なげに)
 あなたという人は……つくづくに、残酷な。

 私がこうして欲しくない、こうなってくれねば良いと思うことは、すべて必ずやってくださる。

 さて……このように残酷な人に、どうして私もこうまで入れあげたものか。
 この期に及んでもまだ、あなたを連れ帰ることしか頭にない。
(涼が怒るとわかっての口調、目が、からかうように笑っている)
Date: 2005/03/02/01:45:38   [229]

それにしても、ご無理をなさる
イサク&涼  
イサク:
(手を平然と伸ばして、涼に触れ、そのまま距離を詰める。微笑みのまま、見下ろし)

 それにしてもご無理をなさる。
見ていて、こちらがハラハラしましたよ。
 桜木さんの行方がわかったとたん、あの………死に損ないの手を振りきっての無茶な飛行呪だ。

 その体には、もうほとんど力も残ってはおられぬだろうに、あなたが死んではしまわれないかと、こちらはもう、胸も潰れるかと………。
Date: 2005/03/02/02:19:12   [230]


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月があなたに味方する
イサク&涼  
イサク:
(ふぅ、と、苦く笑んで)
 ほら、すぐ、そのような目で人を見る。

だから残酷だと言うんです。
 ほんの一日前までは、あんなに優しくして下さったのに、もう、何もかもなかったことのようだ。

 ………今宵は、だが、日が悪かった。
月があなたに味方している。
 その身に力は残ってはおられないが……

(イサクの指先を拒むように、涼の身に、白い小さな光が幾重にも走る。それに手の平を焼かれ、目を細め、苦く苦く、笑い。しかし、手は引かない)

 ……また、つぎからつぎへと、いろいろな事を考えつくものだ。
 なるほど、その身を依り代にするとは。
今は、満ちた月のちからを己のものとしておいでか。
 確かに、桜木さんを助けるためだけならば、それだけで十二分に事足りる……

(見破られ、涼、顎を引いて唇を噛む)

 あなたの身は、また、術士であるだけでなく、巫女(シャーマン)の器としても、比類ないということがこれで証明されたわけだ。

(目を細め、挑発するように再び笑みを含む)
 それでも、なかなか扇情的な眺めではありましたけれどね。
あなたが、符でなく、ご自分の体に直接、呪の筆を走らせてゆくさまを見るのは。

(涼、カッと顔を赤らめ、自分の襟元を合わせ、身を退ける。歯がみをし、イサクの手を払いのける。イサク、肩を大きくすくめて)

 もう諦めては如何です!
あなたがどのような手を講じてみようと、この私から逃れることなどできるはずがない。
 そんな、満月の夜にしか使えぬようなちからしかもはやないのに、どうして私に抗える。

 私は……手に入れると決めたものは、手に入れる。
 そう、生まれついているのでね。
Date: 2005/03/02/02:43:18   [231]


(EmptyReference!)
許さぬ
  
涼:
(静かに、身をたてなおし。イサクを見ず、呟いた声が、震えている)

お主だけは………許さぬ。

 私は………友ができたと、思うたに。

「オモテ」との約定により、この身は、市井のものと交わることが許されぬ。
 幼き日より、友といえば、式鬼くらい。
太郎、次郎が童女であるのは、私がせめて式鬼くらいは、自らに近いものとしておきたがったがため………

 兄上が店を作ってくれ、有坂が兄上とともに暮らせるようお膳立てを整え、ようやく人と交わることができるようになってはきたが、私の身は、やはり常人(つねひと)の条理とは違うもの。
 それを恐れられるのが怖いという気持ちはどうしようもなかった………

 じゃが、有坂のように私のお目付というでもないに、お主は私を毛ほども恐れず、あれやこれやと煩かったが、常に側にいて、案じ、怒り、してくれた。

 ………私は………

………はじめて………

 この身に………失いたくない、友が出来たと、そう思ったに。

 ………お前は………

ただ、騙しただけじゃったのじゃ。
 私を、騙したかっただけ。
お主だけは、許さぬッ。本来ならば、顔も見とうないが、私心はこのさい、横に置く!
 ありとあらゆる行いを鑑み!
お主だけは、けっして、許さぬッ!
Date: 2005/03/02/03:14:39   [232]

(EmptyReference!)
それは誤解だ!
イサク  
イサク:
(涼の言葉に、顔色を変える)
 ちょっと……待ってください!
それは、誤解だッ。
 あなたとともにいるとき、私があなたに心配させられたり、苛々させられたり、安堵したり………
 それは、まったく心を偽ったことはない!
 私は、そのままの私だ!

(腕を伸ばし、涼の腕をつかむ)
 そ。それは、あなたに黙っていたことは騙されたと言われても仕方がないと思うが、この心を偽ってあなたと接したことは、一度も……ッ

涼:
(イサクの腕を、払いのけようとしながら)
 離せッ、私に触れるなッ!
Date: 2005/03/02/03:22:33   [233]

(EmptyReference!)
えぇ、もぅ……!
イサク  
イサク:
(自分を振り払おうとする涼の体を強引に背後から抱き締める)

 えぇ、もぅ………!

(理由もわからずこじれてゆくのに、苛立ちを隠せぬように、歯がみして)


 そんなことを考えているのなら、
何故、ひとことでもそう言わない……ッ?
 それならばそれで、
こちらも話のしようがあったものを………!

 あなたを……傷つけたいと思ったことはない。傷つけるつもりもない!
 そう、何度も最初から言っているのは、その耳を素通りか?

私の言葉は、もはや、すべて嘘にしか聞こえないと、あなたはそう言いたいのか……ッ。

 何故、こうなる?
どう伝えたら、私の考えがあなたにそのままが伝わるッ?
 いや、それはもういい。だから、こちらを向いて最初からもう一度、話を……ッ!
Date: 2005/03/02/03:47:09   [234]


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