9月14日 「工房」



  



  悩み疲れて、本日は繰り人、何もできずに寝呆けることにしたようでございます。
 ちょうど良いので、今日は工房の中のことでもお話いたしましょうか。
 
 ☆★☆

  繰り人が工房にしているのは、西に面した部屋。主な我等の住処もここです。
 部屋は、一年を通し、黄昏どきは神々しくさえ思える空に向かう、絶景の場所なのですが。

 これが、まぁ、ちょっとないほど雑然としておりまして。

  ひらたい話がとっちらかっております。
 先日、ついに部屋の一角に蜘蛛の巣のはっておりますのを見つけ、
  さすがの繰り人もしばし落ち込んでいたようで。
 まぁ、当然で、落ち込んでもらわなければ困る気もいたします。

 どうやら、我等が繰り人は片づけるということに関しては、まったくその能力がないと、
 判断せずにはおられますまい(苦笑い)

  そして、もはや足の踏み場のないほどの有様の工房の中でも、
 もっとも多いのが、本なのでございます。

  左にケルト、前方にデザイン、腕を伸ばせば洋裁のハゥトゥと、
 まぁ、それはそれはとりとめもございません。工房で、本のない場所などないというほどに、
 部屋はさながら大きな本箱のようになっております。

  工房の出入り口はさらにひどうございます。
 神社仏閣の写真雑誌が山と積まれた上に、昭和史、中国の奇談、画集、写真集と、かろうじてのバランスを
 保って、私の背丈などより遙かに高く積み上げられ、部屋に入る者はみな、体を横にせねばこの前を
 通って工房に入ることはかないません。

  さらに、本来はクローゼットであるはずの部分にも。
 もともと入れるべきであった洋服は次々と捨てられ、あけられたスペースに、西洋魔術誌でありますとか、カニバリズム論、
 金棘篇、心理学関係書籍から東西の空想生物辞典まで、表には置いては置けぬ種類の本が詰め込まれました。
  そして、繰り人の机の周りには、まるで小さな壁のように、左右前後にすぐ本が積み上がります。
 こちらは、広辞苑を山の麓に曼陀羅図典から、和装の下絵集まで……繰り人の座る椅子の上にさえ、分厚い万葉集が、まるで、
 腰あてのクッションのように置いてあるのです。
  地震が来ましたら、まず、間違いなく、繰り人、本の下で圧死でございましょう。

  しかし、もっとも不可解なのは、おそらくは何故にこれほどの本を持ちながら、それを繰り人が
 一冊たりとも最後まで読まぬのかということで。

  これは、もしかしたら「巣」なのかもしれぬというのが、目下、私の結論でございます。
 確かに、おかしな居心地の良さはあるようで。
  ……ご覧あれ、繰り人、幸せ極まりなしという顔で、居眠りしておりますでしょう?(笑)










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