9月20日 「時間」



  



 今日は、いじらない、と、繰り人が宣言いたしましたので、首を傾げて尋ねかえしました。
 せっかく鴉君たちの顔が決まりましたのに、また、どうしてそのようなことを言いだしたものか、
 怪訝ではありませんか。
  と、繰り人が言うにはこうです。

  「一段落ついたから、掛け持ちのサイトの方の更新したいなぁって思ってさ。いや、毎日お人形漬けだったから」

  その割には、またクラウンの瞳をはめ直したりしているのですが(笑)
 クラウン。
  彼女はまだこちらに顔をだしたことはありませんが、この分でしたら、一番繁く顔を出すのが
 彼女になるかもしれません。

 なにしろ、鴉君たちに手を入れるまえに、必ず繰り人は一度、クラウンをいじるのですから。

  それでクラウン(ピエロ)という名は、あまりかとも思いますが……

 「それに、もうちょっと、あの子たちにも時間あげたいしね」

  時間。

 「お互いを知り合う時間。これから恋に堕ちてもらう二人だからさ」

  そんなことを言って。あなたがそう創ったのなら、彼らにはその道しかないのでしょうに。

  私が言いますと、繰り人は険しい顔で言ったものです。

 「そんな簡単に行くもんか?」

  ……うむ。
 それでも単に時間が何かを解決するとは思えませんが。
  と、
今度は呆れ顔をされました。

 「変わるで、時間で。それは、私もあんたたちも同じ」

  だが、我等は成長しないでしょう。時間で何が変わると?

 「ちゃう(違う)て。それは成長の根本の意味が違うだけ」

  繰り人は難しい顔で、その手に何故かクラウンの首を拾い上げました。

 そういえば、クラウンはもっとも繰り人の性に合わぬものだと言っていたのを聞いたことがあった気がします。
  それでも自分の手に入った限りは、なにがしかの作為あってのことだろうと、この二人はまるで
 毎日口げんかをするようにして対峙しておりました。

  なんとなく、納得のゆかぬまま、この話はこれまでとなったのですが。

 たとえば、我等は変わるのでしょうか。
今日から明日にかけて、明日から明後日にかけて、どこかがどのようにかして?  
 ……そんな見えぬ「変化」が本当にあり得るとしたら、気持ちが悪い気もいたします。

  うぅむ。やはり、納得いきません。どうも居心地悪くっていけませんね。










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