イサク: ………ますます笑わせるな。 何を勘ぐっている? ミイラ獲りがミイラになったとでもいいたいか。お前のようなものでも、そんな勘ぐりはする。下劣極まりない。 いや……ロマンチストなのかな。 とういことは、思わぬ美徳を発見したわけだ。良かったじゃないか。
私は目的を見失わぬさ。 お前たちのように、目先のことにばかりすぐ囚われていると、ものごとの本質がすぐにわからなくなるのだ。 この身に宿る選ばれた血が、いつか、誰がもっとも尊いものか、示す日が来る。
何人たりとも、その日を覆すことなど、不可能。 私が、私自身を裏切ることなど、ありえん……そういうことだ。 お前らには、それがわかっていない。
もっとも、それは、私とずっと共にいながら、あの、いつまでも足手まといのままのヨハネでさえ、完全に理解できてはいないのだから、まぁ、いたしかたないのかも知れないけれど、ね。
さぁ、もうすぐあの姫が屋敷でのつとめから戻るぞ。 さっさと帰らないのなら、私が先に片づけてやっても良いが、どうするね?
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