涼: 何があったのか、話せるのならば、聞きたい。お前にには悪いが、お前を襲ったものは、おそらくは兄上に害なそうとした不届きものに違いないでの。
有坂: ………わかりませんでした。何も。あまりに、相手が早すぎて。でも………あれは、魔ではありませんでした。 ひどく、『太郎』たちが戸惑っていましたから。
涼: (眉を寄せ)その事ならば、私もかねてより疑いを持っておることが一つある。 有坂……お主の目には、どうとれた?
有坂: 深く襤褸のような外套を被り、顔を隠した奴ではありましたし、空から、急に降りてきて、走る私の車の上に立ちました。 それだけ考えれば、おおよそ信じられませんが、姫さま。 おそらくは、あれは……「人」かと。
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