(廊下を右から左へ。イサクの前を足音も高らかに通り過ぎていく二人)
有坂: で、ですから、聞いてくださいって!
涼:
あぁ、もう、煩い、やかましい、面倒臭い、鬱陶しいッ!
昨日の今日で、もうそれか! お主の話はよう分かったから、部屋に戻ってまた寝よ!
有坂:
ちゃんとお約束を取り付けるまで離れませんからねッ。だいたい、姫さまは単独行動が多すぎるんです。
「オモテ」とのお約束、毎度毎度確認させていただいておりますので、よもやお忘れとは思いませんが、私どもは、姫さまを、世俗の好奇の目からお守りする役も担っております。もし、姫さまのような方がこの日の本を影ながら護られているなどということがマスコミにでもしれようものならば、葛葉のお屋敷はもちろん、大表の方さまにも多大なご迷惑が・・・
涼:
それと、「太郎」「次郎」らを今すぐ招き戻すという話が、どうしておまえの中では一直線上に並ぶのか、それが私にはわからんわ!
有坂:
姫さまにはお目付けが必要! お目付けといえばこの有坂でしょう。しかし、この有坂はただのしがない一介の官吏に過ぎません。この有坂が姫さまを世俗の毒からお守りするためには、どうしてもあの式鬼たちが必要なのです。
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