2月20日(日)昼 葛葉神道家 廊下(1)

うるさいぞ!

涼&有坂&イサク  
(廊下を右から左へ。イサクの前を足音も高らかに通り過ぎていく二人)

有坂:
 で、ですから、聞いてくださいって!

涼:
 あぁ、もう、煩い、やかましい、面倒臭い、鬱陶しいッ! 
 昨日の今日で、もうそれか! お主の話はよう分かったから、部屋に戻ってまた寝よ! 

有坂:
 ちゃんとお約束を取り付けるまで離れませんからねッ。だいたい、姫さまは単独行動が多すぎるんです。
 「オモテ」とのお約束、毎度毎度確認させていただいておりますので、よもやお忘れとは思いませんが、私どもは、姫さまを、世俗の好奇の目からお守りする役も担っております。もし、姫さまのような方がこの日の本を影ながら護られているなどということがマスコミにでもしれようものならば、葛葉のお屋敷はもちろん、大表の方さまにも多大なご迷惑が・・・

涼:
 それと、「太郎」「次郎」らを今すぐ招き戻すという話が、どうしておまえの中では一直線上に並ぶのか、それが私にはわからんわ!

有坂:
 姫さまにはお目付けが必要! お目付けといえばこの有坂でしょう。しかし、この有坂はただのしがない一介の官吏に過ぎません。この有坂が姫さまを世俗の毒からお守りするためには、どうしてもあの式鬼たちが必要なのです。
Date: 2005/02/20

勝手に一人で千切れておけい!

涼&有坂&イサク  

涼:
 単に、奴らが可愛いてたまらん、一刻も離れていとうない、どうかお願いしますから呼び戻して下さいと素直に頼むのならば、まだこちらの毒気も抜けようものを、もっともらしい理屈をすらすらっとすぐに並べてみせるところがまた小面憎いわ。おまえという奴は、小賢しいにもほどがある。
 えぇ、私は一郎太を探すためにこれから呪法に入る。何をするにしてもその後じゃ!


有坂:
 そんなこと言って、前回だって、結局3ヶ月もほったらかしにされたではありませんか!

涼:
 すぐに散るような容易い式鬼として戻してもいたしかたなかろう!あれほどのものになれば、わたしとてそうおいそれと戻せはせんのだ。
 わかったら退け! 私は兄上をさがすので忙しい。お主のヘンなシュミにつきおうておる暇はないぞ。

有坂:
 後生ですから、姫さまッ!
『太郎』『次郎』は私を庇ってあんなことになってしまったんですよ。良心が痛んで痛んで、もう、身も心も千切れそうで・・・!

涼:
 別に私はいっかな構わん!勝手に一人で千枚にでも万枚にでも千切れておけぃ!
Date: 2005/02/20

つきあいきれんわ!

涼&有坂&イサク  
イサク:
 (二人の言い合いをかわるがわるに眺めていたが、有坂の服が涼が自分と京都に行った時に着ていたものと気付いたらしい。眉間の皺が二倍ほどの深さになったかと思うや……とうとう割って入る。苛々した口調で)
 いいかげんにしろ。一体、お前はなんなんだ? 

有坂:
 (ムッとして、イサクを見て)部外者が口をはさまないでいただきたい! これは極めて高度に政治的な問題だ!

イサク:
 一晩中看病してもらったから、そうやって怒鳴れるようにもなったのだろう。感謝のことばのひとつもあって、しかるべきなんじゃないのか。

有坂:
 (なんだ、こいつはいきなり! 姫さまもまた変な奴をお屋敷にお入れになって、考えのない)
 もちろん、重々、それはもう何度も額を畳にこすりつけて申し上げた。それとこれとは、別問題なんです。事情も知らない人間がわかったような口を聞かないでいただきたいものだ!

涼:
 なぁにが別問題。なぁにが高度に政治的。イサク、そやつはの。式鬼らと公然と暮らしたいがため、新しく家まで買うた病気持ちじゃ。
 まっとうに話しておったら、頭がおかしくなるぞ!

(イサクが割って入ってくれたのに、本当にほっとした様子で、腕組して、自分の言葉にうんうんと頷き)

したが、いや、私はほんに忙しい。すまんの、後は任せるぞ、イサク!
 そいつはねちっこくてしつこい恩知らずじゃで、後でイヤーな気持ちになるやもしれんが、そこで食い止めていてくれれば助かる。
 有坂、後のことはイサクと話せ!
Date: 2005/02/20
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