2月22日(火)夜 天空カフェ(2)

これは……!
イサク&涼  
涼:
 ……良い。うまいの、お主。
そうじゃ。そのままで、良い。……うむ。

(あたりをみたす空気が水底に変わったかのように、音が消える。一瞬、驚いて手を引きかけたイサクの手は、握られてもいないのに、涼の掌から離れない)

イサク:
(何かが……入ってくる! 皮膚を越えて、あらゆる、ところから!)

涼:
 これ。緩まぬか。
それでは、根元の異物になってしまう。
皆を驚かせ、迷惑になるぞ。……緩め。

イサク:
 (緩めと言われても……!)

涼:
 (苦笑して)良い。では、私が膜を作ろう。誰しも、最初からすぐには根元と一体にはなれぬ。そうできれば、話は早いのじゃがな……

イサク:
(何かが……張った。入るのが止まった。この膜は……暖かい)

涼:
 ……すべてのものはひとしいのじゃ。
イサク。
 覚えておくがよい。
おぬしも、川を泳ぐ魚も、空を往く鳥も。
 夕べ死にゆく虫も、野辺を覆い尽くす草も。
 果てなく溜まる水も。沈黙する土も。宇宙(そら)すらも。
 すべてのものは、ひとつの、ひとしく同じものじゃ……
 我等はそれを忘れるが、それは、けして、失われることのない真理。

 我等の生は、おそらくはそこへたどりつくがための長い道程じゃ。

 生まれ来て、また、戻る……流転の輪の中で、我等はこの根元をあるべき姿とするために、那由多(数のもっとも大きい単位)の過ちを重ね、ゆらぐ。
 
Date: 2005/02/21

まこと、生とは愛おしいもの
涼&イサク  
涼:
 のぅ……生とは、まこと、奇しきものよな。
どのような物でも、尊く、愛おしい。

 確かに、人は、過つ……それは必定なのじゃ。魔は、人のそこを嫌う。
 が、過ちがあるからこそ、人は根元でもっとも頼りの力でもある。

 ただ、存在するのではない……人は、そこに、意味を求める。なんでもよいのだ。だが、求めずにはおられぬ。

 人の心はゆらぐ……そのゆらぎの端数こそが、魔をつくる。魔の力ともなる。

 魔もまた、根元の一要素。
魔は、将棋で言うならば根元の飛車角じゃ。組成の段階で、人らの原理とは異なる約束ごとのうえにあれども、人と同じく、欠かれることはない。
 だが、人は、その違い故に、魔を恐れ、憎む。

 ……存在は、すべて、是じゃ。
もとは一つの等しいもの。
 どうして、掌が是で、肘は非なぞと分かたれよう。
 存在は、すべて、是じゃ。
………それでも、人は魔を憎み、魔は人を喰らうがの。

 私には、まだわからぬ。
決めかねておる。
 ゆえに、人も魔も、どちらつかずの私をこう呼ぶの。
 ………「天魔」と。

イサク:
(涼が手を離したので、ハッと目を見開く。長い夢をみていたような表情)
 あ………
(自分の両手がそこにあるか、確認するように見下ろしたり、動かしたりしてみる)

涼:
(笑って)初めて入ってみると、何が何じゃかわからなんだであろ?
 そういうところじゃ。
興味があるなら、おいおい覗きかたを教えてやるぞ?
 わかってくれば、面白い。
 あそこは真理の宝庫じゃ。
というより、源じゃでの。
Date: 2005/02/21
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