さ、どうする?
アリュテ  
アリュテ:
 まぁ、あの時、まさかお前とあいつがあんな事になっているとはこっちも思わないからさ。
 すぐに気がついてやれなかったのは可哀想だと思うけどさ。
 ま、半死半生でも、見つけてやったんだから、そこんとこは感謝して欲しいね。
 さ、で、どうする、どうしたい?
生きたい? それともそのまま死にたいかい?

 ………早いね、いい返事だ。
でも、じゃあボクと契約してもらわないと。……当たり前だよ、何を驚いているの。相手が悪魔の取引なのに、契約も代償もないなんて、有り得ないだろう?
 ………そうだね。
じゃ、こういうのはどう?

 お前が人生で一番幸福だと思った瞬間、その魂をボクが貰う。

 うん。「ファウスト」だ。
どう? この契約で、取引をする?

 ………おや、えらくまた、これも、返事が早いな。本当にいいんだね?
Date: 2005/02/27/00:20:25   [169]

ちゃんと考えなよ?
アリュテ  
アリュテ:
 この契約って、結構つらいんだよ?
例えばさ。
 お前がこの世に戻ってさ。
万が一、あいつをやっつけて、この先、あのお姫さまと首尾良く恋仲にでもなれちゃったとしてさ。

 ……いや、例えばの話だから、そんなに思いっきり否定しなくてもイイから。
 聞きなよ。

 あのお姫さまと、結婚式なんかあげてさ。きっと、誓いのキスのときなんかに、ボクに魂を差し出さなきゃならなくなるんだよ?

 (苦笑して)そんな契約でも……それでも、いいの?
Date: 2005/02/27/00:28:14   [170]

まだあるよ?
アリュテ  
アリュテ:
 驚いた! へぇ、それでもいいんだ。そんなに返事が早いなんて、ちょっと意外だな。
 でも、最後に聞きなよ。まだあるんだ。

 あいつ。
出ていったフリをしているけど、フリだけだよ。
 近くで様子を伺っている……あのお姫さまがこれからどうするのか、楽しんでるんだろうね、優雅なもんさ。高見の見物だ。

 あいつはお前の事を死んだと思ってる。

 いや、普通はこのままだと死ぬけどね。

 お前、相当あいつに嫌われてるよ……
並の憎悪じゃ、こんな趣味の悪い殺し方、考えつかないと思うもの。

 一体何したのさ?

 けしてすぐには死ねないように、でも、確実に死ぬように。
 体の内側で、骨だけ、すべて、キレイに粉々にミキサーにかけられたみたいに砕かれて。

 お前、意識だけで、今の自分の姿が見えなくて、ほんとに良かったと思うよ。
 ……あぁ、言わないでおいてあげようね、これ以上は。見えなくっても、自分の姿を想像して、気持ち悪くなってくるだろ?

 そんなことはいいんだ。
お前、この世に戻ったら、絶対、あのお姫さまのところへ馳せ散じるつもりだろ?
 まかり間違っても、ここからイチモクサンに逃げるつもりなんじゃないよね?
 ………逃げるつもりなら、いいんだけど。そうじゃないなら、お姫さまに近づけば、自動的にあいつに生き返ったって知られてしまうからね。
 そうしたら、次は、もうないと思った方がいいよ。
 もう一度………いまよりひどいやり方で……って、言っても、ボクにはすぐには思い浮かばないけどね……すぐに、あいつに殺されるだけだよ。

 お前は人間なんだからさ。
そんな慌てて生きなきゃって躍起にならなくても、大丈夫なんだよ?

 次の生が、待ってる。それは、この世の約束だから、疑う必要もない。

 ねぇ。
今の人生、そんなに楽じゃないんだろ?
 次にかけるって手の方を、断然、お勧めしたいけどね、ボクとしては。
 ねぇ。もうちょっと、ちゃんと、考えてみたらどう?
Date: 2005/02/27/00:46:23   [171]
 【Ne xt】(2月23日(水)葛葉神道家(3)へ)
CLOSE


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送