| 涼
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涼: (店で。膝掛けをかけ、ただ、座っている。目に生気がなく、暖をとるには膝掛け一枚では寒すぎるのに、何も感じられないらしい。ただ、放心したように虚空を見つめている)
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Date: 2005/02/27/05:17:08
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| 涼&有坂
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有坂: 姫さま! こちらでしたか……!
涼: (有坂の声に顔だけ動かして、彼を見る。無言)
有坂: (眸が黒い涼を見たのは初めてで、事情はわかっていても、一瞬、息を飲む。が、すぐ、気をとりなおし)
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Date: 2005/02/27/05:21:43
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| 有坂
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有坂: (涼を覗き込んで) し……しっかりなさいませ! あなた様がそのような有様でどうなさいます。あなた以外の、誰が兄君さまをお助けするというのですかッ? 姫さま………姫巫女さま! しっかりなさいませッ!
涼: (虚空に見開かれていた瞳に、ワッと涙が溢れる。つッ、と頬を伝う一筋が、有坂の手の甲にも落ちる) ………有坂。
有坂: (涼の涙を見るのも、初めて。顎を引き、顔を強ばらせる) ひ………姫さま………!
涼: (虚空を睨んだまま、唇が小さく震える)くや……しいぞ。 私は、今まで、これほどに我が身の不明を呪ったことはない。 ようやく満月が来ようというに、我が身は、もう何もできぬ。 あの時と同じじゃ……… 父上や母上を殺された、あの時と同じじゃ。
誓うたに。 私は、あの時、誓うたに。 ………何者にも負けぬ力を手にする、と。 何人にも、たとえ相手が神仏であろうとも………足下に踏みつけられるだけの力あるものになってみせると。
そうして、兄上たちを護るのじゃと。 あの日、幼き私には何も護れなんだから。 この私が………護るのじゃと。 わたしは………誓うたのに!
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Date: 2005/02/27/05:34:21
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