あの毛唐め、ほんにもう許せん!
ちゅうか、あやつ、絶対おかしいのじゃ!
折角許してやろうかと思うておったに、ありゃ、一体なんじゃ!?
昼前のことじゃ。有坂が、「オモテ」より、ことここに至ってもなんの成果もあげられぬ詫びといってやってきた。有坂め、本当は、昨日の話でこちらの事を危ぶみ、直々に釘を刺しにあらわれたのじゃろうが、葛葉の屋敷の方へやってきたで、あちらで会うた。
で、有坂と私が屋敷から出たところで、ばったりと、ぶらぶら散歩しておったらしいあの唐変木に追うたのじゃ。それだけじゃ。
じゃというに………それから、あの毛唐め、何を話しかけても、口をきこうとせん!
どういう了見じゃ!
ほんにもう、何を考えておるのか、さっぱりわからんぞ!
口もきかずにコチラを睨むで、私に非はないというに、なんじゃか謝らねばならんのかと頭をひねりとうなるわ。
何を怒っておるんじゃ、一体。
瀬蓮と華恋は昨日、結局泊まっていってくれたのじゃ。
で、今日はなんと、かずどのと、真優と美優が来てくれた。
小さ子はほんにほんに可愛い!
抱くと良い匂いがする。
ほおっぺたなど、つるつるのぷにぷにじゃ。
まこと、小さ子は、幸せな生き物と思うぞ。
そのうえ、真優と美優、あんなにまだ小さいのに、兄上を探しに行くというてくれたのじゃ……
あぁ……もぉ、ほんに可愛い。
優しいお子らじゃ。
瀬蓮と華恋がうまくなだめてくれての。漣どのが迎えにこられたで、真優、美優はかずどのと家に帰ったが、ほんとうなら、ずぅっと遊んでおりたかったのぅ……!
私が小さ子が帰って残念がっておったら、唐変木がやって来て、毒を吐いて行ったぞ。
「あなたも今日来た彼と作ったらいいじゃないですか。子どもを生めるのは、女性の特権ですよ」
………お前は一体何が言いたいのじゃ?
私はこの間も、兄上の行方、少しづつじゃが、手がかりをつかんでおる。
それを、ここでのらくらしておるお前は、弟御のことを探すため、なにか一つでもやっておるのか!
と、怒鳴り返してしもうたのを皮切りに、大喧嘩じゃ。
喧嘩自体にも、むかむかはするが、それ以前に、いわれなく怒られておるのがどうにもむずがゆうてならん!
まったく、毛唐の考えることは、さっぱりわからんぞ!
|
|
|