2月18日(金)2 涼さま備忘

朗報じゃぞ!


 一条殿に見せてもらったが、残念ながら、果心堂の刀はなかった。
が、収穫は多いにあったぞ!

 刀にもし奴の強い「気」が残っておれば、私ならば、それを手蔓に、この世界すべてに魂魄を拡げ、奴を手繰りだすことができよう。

 刀は、本来、器物の中でも、より強く持ち主と結びつくもの。
 特に、果心堂は手持ちの刀、すべてにそれは強い執着心をもっておるでな。これは良い考えじゃと、そう思ってのことじゃったが、あてが外れてしもうたぞ……したが、おかしいの、老翁の調べたところでは、最近、一郎太がここに来ておるはず。もしかしたら、預けた刀を受け取りに来ただけであったかと、一時は落胆したのじゃがの。

 刀を見るためならば、果心堂のねぐらに行くが一番なのじゃが(あそこには果心堂が死なぬ体を良いことに集めに集めた希代の名刀、業物がわんさとある……勿体のない話じゃ、あんな男には過ぎたるものばかりじゃに)残念なことに、果心堂は私を目の敵にしておったでの。

 私にだけは見つからぬよう、いつもいつも念入りに館を隠しておる。

私があそこに行こうと思うたら、それは一郎太とともにでもなければ、入ることはできんでのぅ。その肝心の一郎太も、今は誰ぞにさらわれて行く方知れずとは、私もとことん運がない。

 いたしかたない。こうなれば長居は無用なのじゃが、イサクが休ませろと言って眠りだしてから、目を覚まさん。
 放っていっても良かったが、後で何を言われるかもわからんでな。
起きるまで、待ってやるかのぅ、なぞとしばし迷っておった。

 そうしたら、思いがけぬことじゃ、別の良いものが見つかったではないか。
一条殿が、果心堂の刀はないがと言って、別の物をもってきた。
 それが、一郎太の刀じゃ。
十分に思いの気も残っておる。
 これならば、私は容易う一郎太の行方を見つけることができる!

イサクを起こしたら、とく、屋敷に戻らねば。
 一郎太を見つければ、誰が兄上に難渋させたのかわかる。
それが判れば、兄上の居所も知れるやもしれぬ!

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